今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
慢性肝炎へのアプローチ
慢性肝炎の原因と鑑別診断
大西 三朗
1
1高知医科大学・第1内科
pp.831-833
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221672
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慢性肝炎は肝生検法の普及により,肝硬変に至る病理形態学的過程を把握することにより明らかにされた病態,疾患概念であり,6カ月以上に及ぶ肝の慢性炎症性疾患と規定される.その確定診断は基本的に肝臓の組織学的所見によりなされる.慢性肝炎の組織学的分類はヨーロッパ分類,Fogarty分類,およびわが国のウイルス肝炎を念頭においた犬山分類などが提唱され,必ずしも一致が見られていない.いずれも間質,殊に門脈域における単核球浸潤,線維増生を診断基準として基本視しているが,最近ではchronic lobular hepatitis,bridging necrosisなどの肝実質壊死の意義を加味した改訂がなされている(表1).
肝の病理形態学に基づいた慢性肝炎は種々の病因,病態を含んでおり,A型,B型肝炎ウイルスの発見,ウイルスの分子生物学的研究,また免疫学の著しい進歩などにより,包括的な疾患概念である慢性肝炎のpathogenesisは個々の病因に基づいて解明されつつある.
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