今月の主題 肝炎への新しいアプローチ
急性肝炎へのアプローチ
急性ウイルス肝炎—予防
上村 朝輝
1
,
小島 秀男
1
,
宮島 透
1
,
市田 文弘
1
1新潟大字医学部・第3内科
pp.804-805
発行日 1988年5月10日
Published Date 1988/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221663
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■A型肝炎
A型肝炎患者の発症前から発症直後の糞便にはA型肝炎ウイルス(HAV)が排出される.このため経口感染によりHAVが伝播されて,A型肝炎の発生や流行が生じる.感染を受けてから発症までの潜伏期は3〜4週であるが,糞便中のウイルス量は発症前の1週間前後が最も多く感染性が高いようである.代表的な感染経路としては,1)水系感染,2)食品とくに魚介類の汚染,3)発展途上国における海外での感染などがある.
HAVの感染を受けると,A型肝炎として発症する場合でも,不顕性感染となった場合でも,いずれもIgG型HA抗体が持続陽性化し,HA抗体保有者となる.HA抗体保有者はその後HAVの感染の機会があっても抗体によりHAVが中和され,再感染は起こらない.わが国におけるHA抗体の年齢別保有率の調査では,HA抗体保有者は35〜40歳より上昇し,50歳前後で約80%の抗体保有率を示している1).
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