今月の主題 今日の心不全診療
心不全患者ケアの問題点
付)非心臓疾患による心不全
岡本 光師
1
1広島大学医学部臨床検査医学
pp.676-678
発行日 1988年4月10日
Published Date 1988/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221638
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冠動脈疾患,弁膜疾患,先天性心疾患,原発性心筋疾患などの基礎疾患を有しないで心不全を発症する可能性がある疾患として,①血液疾患,②内分泌代謝疾患,③神経疾患,④腎疾患,⑤呼吸器疾患,⑥骨疾患(Paget's disease, Albright'sdisease),⑦その他の増悪因子(妊娠,肥満,発熱)などがある(表1)1).これらのうち,本稿では主として貧血,甲状腺疾患,脚気における血行動態変化,いわゆるhigh output failureとその対策および問題点について述べる.
high output failureの原因は,甲状腺機能亢進症,妊娠,発熱などのhypermetabolic stateと貧血,脚気,動静脈瘻などのnon-hypermetabolicstateに分類される.心不全とは,生体の酸素需要に対して,心臓のポンプ機能がそれに応じた血液を供給できない病態とされており,high outputfailureでは心拍出量が高値を示すにかかわらず酸素の需要と供給のバランスが崩れ,心不全症状をきたしうる.しかし,心拍出量の基礎状態での正常範囲は2.6〜4.0l/min/m2と幅広く,いわゆるlow output failureでも安静時の心拍出量は正常範囲のことが多い.high output failureといわれるなかにも重症心不全では正常上限の心拍出量を示し,心拍出量だけから心不全の診断はできないことがある.
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