今月の主題 白血病とリンパ腫
白血病の治療
慢性骨髄性白血病(CML)の治療
澤田 博義
1
1京都大学医学部・第1内科
pp.68-72
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221482
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慢性骨髄性白血病(CMLと略)は,顆粒球系/単球系,赤血球系,血小板系の3系統,また,おそらくBリンパ球に分化する多能性幹細胞のcompartmentの増大によって生ずる疾患で,慢性骨髄増殖性疾患(MPD)の代表である.
本疾患はPh1染色体陽性のcloneが診断時造血細胞のほとんど大部分を占めていることが多く,急性白血病の治療理念であるtotal cell killにしたがって強力な多剤併用療法を実施しても,白血病細胞を完全に駆逐することができない.またCMLは,病期として慢性期(chronic phase),移行期(accelerated phase),急性転化(blastic crisis,BCと略)に分けられるが,発病後,ある病期に止まることなく常に最終の急性転化まで進展する様相は,あたかも河の流れの元にもどらないのに似ている.本稿では,CMLの治療の現況について述べる.
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