今月の主題 白血病とリンパ腫
白血病の治療
シタラビンの使用法(大量vs少量)
吉田 稔
1
1自治医科大学・血液科
pp.74-75
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221483
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シタラビン〔cytosine arabinoside(ara-C):サイトザール®,キロサイド®〕は現在,成人急性非リンパ性白血病(ANLL)の治療薬として最も有効と考えられている薬剤の1つである.その作用機序は,ara-Cが細胞内でara-CTPにリン酸化され,DNAポリメラーゼに対し正常のデオキシシチジン3リン酸(dCTP)と競合して酵素反応を阻害し,DNA合成を阻害する.通常は100〜200mg/m2の持続点滴静脈注射で投与され,単剤で成人ANLLに対して約30%の有効率が得られている.一般的には,本剤とanthracycline系抗生物質などを組み合わせた多剤併用療法が行われている.
近年,治療抵抗性ANLLに対する大量のara-C投与による耐性克服の試みが行われ,その有効性が確認された.一方,従来の多剤併用療法による有効率が低い高齢者白血病や骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)に対してara-C少量療法が試みられ,内外で広く普及している.本稿では,ara-Cの種々の使用法について,その適応と問題点などについて述べる.
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