今月の主題 免疫不全とAIDS
後天的免疫不全症
多発性骨髄腫(B-cell不全の例)
山崎 竜弥
1
,
古沢 新平
1
1獨協医科大学・第3内科
pp.2711-2713
発行日 1987年12月10日
Published Date 1987/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221436
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B-cell系に属する形質細胞の悪性腫瘍である多発性骨髄腫において,感染症,ことに細菌感染症を合併し易いことはよく知られており,その対策は本症の予後を左右する重要な問題である.本症における易感染性の機序として,(1)B-cell機能不全,(2)T-cell機能不全,(3)好中球異常(好中球減少,好中球機能異常),(4)単球機能異常,(5)補体活性化機構の低下などが報告されており,きわめて多様である1).しかしこれらの中で,B-cell不全は治療前から本症にほぼ必発であり,本症は後天性B-cell不全の代表的疾患に挙げられている.その他の免疫不全については,症例や報告者によってその存在は必ずしも一定せず,また易感染性との関連性も不明な場合が多いが,B-cell不全を含む複数の免疫不全が併存する例の存在も考慮する必要がある.ここでは,多発性骨髄腫におけるB-cell不全を中心に,その病態,発生機序,臨床的特徴について概説する.
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