今月の主題 脳卒中up-to-date
脳卒中におけるcontroversy
無症候性頸動脈病変をどうするか—否定的(姑息的)な立場から
西丸 雄也
1
1福岡大学医学部・第1内科
pp.2573-2574
発行日 1987年11月10日
Published Date 1987/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221409
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図は内膜剥離術の是非を論じるに際しての考え方である.年間発症率または死亡率によって増加する保存的治療群の実線(増加率△A)と,術後の事故によってyまで高められた後に起こる脳梗塞または死亡によって増加する手術群の点線(増加率△B)と交叉する時期(x)が短いほど手術が好ましく,長いほど手術の意義は少なくなる.△Aはnatural histroyによる脳梗塞・死亡率によって規定され,yは技術面の問題であり,△Bは手術による脳梗塞発症率の減少によって規定される.
従来報告されたnatural historyの成績によると年間発症率は1%前後のものが多い.しかし,動脈狭窄高度,潰瘍の大きさにより発症率は2〜5%と上昇する1-3).死亡は年間2〜4%であるが,死因としては心筋梗塞によるものが多く,脳梗塞は少ない.手術時の死亡は0.5〜3%で,手術時の脳梗塞発症は2〜7%が多い.手術時の事故は外科医の熟練度によって個人差が大きいことが注目される4,5).手術後の脳梗塞発症の減少は1/3〜2/3とされ,死因はやはり心筋梗塞によるものが多い.
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