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二次性高血圧を疑うポイント
高血圧症の原因は多種多様で,90%以上は本態性高血圧で,原因の明らかな二次性高血圧では,腎性高血圧(腎実質疾患・腎血管性高血圧)や内分泌性高血圧(原発性アルドステロン症,Cushing症候群,褐色細胞腫,甲状腺疾患など)が多い.二次性高血圧は,早期の診断および治療により治癒しうるので,どの高血圧患者に対して鑑別検査を行うべきかが重要である.①高血圧の発症年齢が20歳以前または50歳以後,②頻脈,振戦,発汗を伴う動揺性高血圧,③腹部血管雑音,④低K血症,高Ca血症,⑤血清クレアチニンの増加,⑥通常の降圧薬の効果が悪い,⑦有効であった降圧薬の効果の減弱,などがみられる場合には積極的な鑑別精査が必要である.本稿では,原発性アルドステロン症の鑑別精査の必要性につき述べる.
原発性アルドステロン症(PA)のスクリーニング
PAは,以前は高血圧患者の1%以下で,この10年間では5~13%と以前より多くなった.その原因としてスクリーニングを行う対象の違いが考えられる.PAは,高血圧および低K血症を呈するが,実際には低K血症を呈さない症例が多く,高血圧が唯一の症状である場合が多い.そこで,PAのスクリーニングの目的で,血漿アルドステロン濃度(ng/dl)/血漿レニン活性(ng/ml/hr)比(ARR:aldosterone-to-renin ratio)が広く用いられており,ARRを用いたスクリーニングにより,PA疑い例が増えている傾向がある.ARRは降圧薬を中止して測定されるのが望ましいが,内服中でも有用との報告もある.ARR>25および血漿アルドステロン濃度>15ng/dlを呈する場合にPAの疑いが高まるが,ARRのcut-off値は今後さらに検討する必要がある.
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