今月の主題 虚血性心疾患の最前線
トピックス
reperfusion injury
片桐 敬
1
,
望月 衛
1
,
梅津 一彦
1
1昭和大学医学部・第3内科
pp.2402-2403
発行日 1987年10月10日
Published Date 1987/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221366
- 有料閲覧
- 文献概要
近年,急性心筋梗塞や不安定狭心症の発症早期に冠動脈造影を行い,閉塞部位に選択的にウロキナーゼやtissue plasminogen activator(TPA)を動注して血栓を溶解(intracoronary thrombolysis;ICT)1)し,また経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminalcoronary angioplasty;PTCA)によって狭窄冠動脈の拡張を行う,冠血流再開術が臨床的に現実的になった.再還流により梗塞発症の抑制,梗塞サイズの縮小が可能であり,予後の改善が期待できる.
一方,梗塞早期の冠血流再開の研究は,以前から動物実験的に有効時間,適応などが研究され,再還流に伴って,いまだに生存している虚血傷害心筋細胞の壊死の促進,梗塞巣内出血など,かえって悪化させてしまうことが報告され,「reperfusion injury;再還流傷害」として定義された2).ICTやPTCAなどに伴い,臨床的にもreperfusion injuryは重要視されている.また,再還流に際して心室頻拍(VT)や心室細動(VF)などの重症不整脈が高頻度にみられ,厳密にはreper-fusion injuryには入らないが,無視できないものである.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.