増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
肝疾患
144.胆汁性肝硬変の薬物治療
橋本 直明
1
,
戸田 剛太郎
1
,
池田 有成
1
1東京大学医学部・第1内科
pp.2104-2105
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221264
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胆汁性肝硬変のうち,続発性胆汁性肝硬変は機械的肝外胆汁うっ滞に続発するものであり,主として外科領域の疾患であるため本稿では割愛し,以下,原発性胆汁性肝硬変(primary biliary cirrhosis;PBC)について述べることにする.
PBCは中年女性に多く,病理学的には慢性非化膿性破壊性胆管炎(chronic nonsuppurativedestructive cholangitis;CNSDC)を特徴とし,臨床検査は抗ミトコンドリア抗体(AMA)陽性や,IgM,胆道系酵素の上昇を示す.無症候性のものから,掻痒や黄疸を呈し,肝不全や食道静脈瘤出血に至るものまで幅広い臨床像をもつ.各種の免疫学的異常を認めることから,免疫学的機序が発症に関与することが想定されるものの,はっきりした成因はなお不明である.したがって,原因に対する特異的な治療法がないのが現状である.
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