増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅴ 消化器疾患治療薬
消化性潰瘍および類縁疾患
130.上部消化管出血の薬物治療
野見山 哲
1
1海老名総合病院・内科
pp.2074-2075
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221250
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上部消化管出血は全消化管出血の約80%を占め,そのうち顕出血の80%が中等度から重症出血をきたし,緊急に診断と止血および治療の決定を迫られることが少なくない.上部消化管出血の出血源の疾患別頻度は,胃・十二指腸潰瘍が約60%を占めて最も多く,以下,胃癌,食道静脈瘤破裂,急性胃粘膜病変,Mallory-Weiss症候群などで,緊急内視鏡により出血源の診断,出血の状態を的確に把握し,適切な止血法が選択されるようになった.
とくに,胃・十二指腸出血例では,非出血例に比べ胃液pHは低く,また胃液pH6以下では内因性・外因性凝固能が低下し,さらに血小板凝集能も低下し血液の凝固機転の障害が起こることが知られ,ペプシンも同様のことが起こるといわれており,胃液と血小板凝集能と血液凝固能に対する影響からみた薬物止血法が積極的に行われるようになった.
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