増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅲ 呼吸器疾患治療薬
気管支喘息
79.妊娠と喘息薬
伊礼 壬紀夫
1
1沖縄県立中部病院・内科
pp.1936-1937
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221199
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妊娠と喘息
妊婦における喘息の頻度は,Turnerらによると0.4〜1.3%で,けっして稀ではない.妊娠によって喘息の症状がどう変わるかについての法則性は確立されておらず,Turnerらによる9つの報告における計1,059例の妊娠中の喘息の調査では,49%は症状に変化はなく,29%は改善,そして22%は悪化したと報告されているが,悪化した原因,機序についてはほとんど解明されていない.Jensen,Williams,Gluckらのように,個々の例における妊娠の喘息に対する影響は一定性があり,初回妊娠時に喘息の改善がみられた例は2回目以降も同様の傾向を示したとする報告もあれば,同じ例でも各々の妊娠毎に改善したり悪化したりしたという報告もある.
妊娠と喘息との関係において,プロゲステロン,エストラジオール,エストリオール,ACTH,コルチゾール,各種のプロスタグランジン,ロイコトリエンなど,呼吸器系に影響を及ぼすと思われる内分泌学的,そして代謝上の変化についての興味深い多くの研究があるが,それらの結果の臨床的な意義は必ずしも明確にはされていない.
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