増刊号 これだけは知っておきたい薬の使い方
Ⅱ 神経・筋疾患治療薬
痙縮と異常運動
51.コレア,チック,ジストニーの薬物治療
渋谷 統寿
1
,
本村 政勝
2
1国立療養所川棚病院
2国立療養所川棚病院神経内科
pp.1872-1873
発行日 1987年9月30日
Published Date 1987/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221171
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錐体外路系の主要な神経回路は黒質-線条体路であり,黒質から線条体にのびるドパミンニューロンは線条体のアセチルコリンニューロンを抑制性に調節している.このアセチルコリンニューロンは,GABAニューロンを促進的に調節することによって,黒質のドパミンニューロンに強力な抑制をかけている(図).黒質や線条体の神経細胞の変性脱落によりドパミン,アセチルコリンおよびGABAのバランスがくずれると,いろいろな不随意運動が出現する.
ドパミンニューロンの変性,脱落により相対的にアセチルコリン系が優位になるとパーキンソン病となるが,コレア,チック,ジストニーはパーキンソン病とは反対に,黒質のドパミンニューロンを抑制しているGABAニューロンの機能が減弱し,ドパミンニューロンの機能が亢進することによって出現すると考えられており,その発現機序や障害部位,薬物反応に類似した点が多い(表1).
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