今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の診断
異常プロトロンビン
藤山 重俊
1
1熊本大学医学部・第3内科
pp.1588-1590
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221093
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肝細胞癌(HCC)の腫瘍マーカーとしては,α-fetoprotein(AFP)をはじめ,novel γ-GTPやvariant Al-Paseなどが有用とされ,臨床的に広く用いられている.しかし最近では,各種画像診断法の進歩などにより,比較的早期のHCCの割合が増加していることを反映してか,上述したマーカーの診断的価値は必ずしも満足すべきものではなく,更に実用的,かつ特異性の高いマーカーが待望されていた.
異常プロトロンビンPIVKA-II(proteininduced by vitamin K absence or antagonist-II)は,肝細胞でのプロトロンビン(血液凝固第II因子)の生成に際し,ビタミンK欠乏ないし拮抗剤投与などによって,その前駆体のグルタミン酸残基(Glu)がGla(γ-carboxyglutamic acid residue)に転換され難いため,Glaを欠いたまま,あるいはGlaの含有量が少ない状態で血中に流出してくるものである.
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