特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
凝固・線溶系検査
PT(プロトロンビン時間)
福武 勝幸
1
1東京医科大学臨床検査医学講座
pp.84-86
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104698
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)はQuick(1935)により考案され,外因系血液凝固因子と共通系血液凝固因子にまたがるスクリーニングテストとして用いられている.原理はクエン酸ナトリウム加被検血漿に組織トロンボプラスチンとカルシウム(Ca)イオンを加え,凝固するまでの時間を測定するものである.第II因子(プロトロンビン),第V因子,第VII因子,第X因子やフィブリノゲンの活性が単一または複合して低下すると延長する(図1).先天性の欠乏症・異常症や後天性の病態〔肝の蛋白合成能低下による産生障害,ビタミンKの欠乏による修飾障害,当該因子への中和抗体の産生,異常蛋白産生による凝固反応の抑制,大量出血や播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)による凝固因子の消費亢進など〕が原因である.また,経口抗凝固薬(ワルファリン)投与やヘパリンなどの抗凝固薬の投与で延長する.
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