今月の主題 膠原病診療の実際
話題の膠原病関連疾患
リウマチ性多発筋痛症(PMR)
星 智
1
1竹田綜合病院・内科(膠原病リウマチ)
pp.1406-1407
発行日 1987年8月10日
Published Date 1987/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221054
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リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica,PMR)とは,(1)50歳以上の高齢者に発症する,(2)1カ月以上持続する躯幹近位筋,すなわち項頸部,肩甲帯,骨盤帯,上腕などの激しい痛みと朝のこわばりを主症状とし,(3)赤沈値の亢進を認め,(4)その症状・検査所見が少量の副腎皮質ステロイド剤で速やかに軽快する,という4つの特徴をもった疾患である.
PMRの約15〜30%に側頭動脈炎(temporal arteritis,TAまたは巨細胞性動脈炎giant cell arteritis,GCA)の合併が,側頭動脈生検ないしは臨床症状より証明され,またTAも約半数にPMRの症状をもつ(図).そのことからPMRとTAの近似性が想定されている.重複しやすい別の病気と考える立場と,根底は一つで両者は1疾患の二面であるという考えや,PMRはTAの臨床症状の一つであり,PMRをpolymyalgia artericaと呼ぶべきとする研究者もいる.しかし研究的異同の問題は別としても,臨床的には後述のように両者でその治療法や重篤症状の有無に相違があるため,両者が合併し易いという理解は重要となる.
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