増刊号 診断基準とその使い方
VIII.膠原病・免疫・アレルギー
10.リウマチ性多発筋痛
星 智
1
1竹田綜合病院・内科
pp.2108-2109
発行日 1988年9月30日
Published Date 1988/9/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222014
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■疾患概念と疫学
リウマチ性多発筋痛(polymyalgia rheumatica,PMR)とは,①50歳以上の高齢者に発症する,②1カ月以上持続する躯幹近位筋,すなわち項頸部,肩甲帯,骨盤帯,上腕などの激しい痛みと朝のこわばりを主症状とし,③赤沈値の亢進をはじめとする急性期炎症反応の強陽性を認め,④その症状,検査所見が少量の副腎皮質ステロイド剤で速やかに軽快する,という4つの特徴をもった原因不明の疾患である.人種により罹患率に違いがある.白色人種では稀な疾患ではなく,とくに北方系に多い.米国ミネソタでの集計では,PMRの年間発病率は人口10万あたり全年齢層で11.1人,50歳以上で53.7人となっている.また最近のデンマークでのPMRと側頭動脈炎(temporalarteritis,TA,または巨細胞動脈炎giant cellarteritis,GCA)の疫学調査(対象患者の約90%にPMRを認めている)では,全年齢層で21.5人,50歳以上で76.6人と集計されている.黒人と東洋人での報告は少ない.わが国では近年報告例が増加しつつある.性比は1.05〜7.4と女性に多い.日本人では女39例,男21例と集計されている.PMRの約15〜30%にTAの合併がみられる.
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