一冊の本
「リウマチ入門」—アメリカリウマチ学会編,日本リウマチ学会訳・刊
佐々木 智也
1
1佐々木研究所附属杏雲堂病院
pp.727
発行日 1987年4月10日
Published Date 1987/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220916
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筆者が大学を卒業してリウマチ病学を志した頃は,日本におけるリウマチ学の揺藍期であった.恩師三沢敬義先生は「リウマチを志した門下生は一人前の学者になれずに潰れた者が多い」と言われて,不肖の弟子の将来を危んで何かと心配して下さった程である.今日では信じられないような話であるが,それ程にリウマチは何もかも混沌としていた.その頃に新たにリウマチ病学を志す者にとって良いガイドブックは少く,B. I. ComroeがLea & Febiger社より1940年以降改訂を重ねつつ発行していった教科書が唯一の権威ある図書であった.同じ本は門下のJ. L. Hollander氏に引継がれ,1949年にArthritis and Allied conditions,4th Ed. が出版された.私が図書館で初めて手にしたのはこの第4版で,衝撃的な出会いであった.暇さえあれば図書館に通ってメモを取ったものである.ほぼ年を同じくして,1948年には英国のChurchill Livingstone社よりW. S. C. CopemanがTextbook of the Rheumatic Diseasesの初版を出した.その後Hollanderの教科書,Copemanの教科書として長く親しまれたもので,両者共に改訂を重ねて内容はさらに充実していった.
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