今月の主題 意識障害へのアプローチ
意識障害の基礎知識
意識の生化学
野村 宏
1
,
斉藤 博
1
,
小暮 久也
1
1東北大学医学部附属脳疾患研究施設・神経内科
pp.1830-1831
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220592
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意識は,通常,"自己と周囲の状況とを認識している状態"と定義され,便宜上,認識的および情感的精神機能の統合としての意識内容と,外観上の覚醒状態と関連した意識水準に区別して理解されている1).しかし,その発現や障害の際の脳内機序は未だ十分には明らかにされておらず,さらに,その生化学的過程についての知見は断片的であり,系統的に記述しうる段階にはないと思われる.そこで,本稿では,初めにMagounおよびMoruzziらによるいわゆる"上行性網様体賦活系"概念との関連で脳幹よりの上行性投射線維群と,その神経伝達物質について概説する.次いで,日常臨床上頻用される中枢作働薬による意識障害を主徴とした二つの症候群に言及し,最後に,代謝性脳症における意識障害の病態についての最近の実験的知見を紹介する.
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