カラーグラフ リンパ節疾患の臨床病理
リンパ芽球型リンパ腫
片山 勲
1
1埼玉医科大学・第1病理
pp.1031-1033
発行日 1986年6月10日
Published Date 1986/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220416
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リンパ芽球型リンパ腫は,最も典型的な場合には幼小児の縦隔洞腫瘍として発症する.まずそういう典型例を第1例として提示しよう.乾性咳嗽と発熱を主訴として入院した3歳の女児で,胸部X線像(図1)および胸部CT像(図2)で前縦隔部に大きな充実性陰影が発見され,しかも67Gaスキャンにより強いとり込みが認められた.針穿刺生検によりリンパ芽球型リンパ腫と組織診断されたので,ただちに放射線照射と化学療法の併用を行ったところ,腫瘍はまったく消失し,全身状態も寛解した.目下,維持療法を施しつつ経過観察中である,
第2例は17歳男児で,突発した右下腹部の激痛のため入院.緊急開腹手術により回盲部の腸重積症(図3,矢印のところで回腸が盲腸のなかに入りこんでいる)が発見され,回盲部切除術が行われた.切除された腸管を開いてみると,回腸に発生した約2.5cm直径の球形で有茎性の腫瘍が尖端となって盲腸腔内に嵌入しているのが認められた(図4).リンパ芽球型リンパ腫と組織診断され,化学療法が行われたが,全身性播種により約1年後に死亡した.
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