今月の主題 水電解質と酸塩基平衡
酸塩基平衡の基礎と臨床—最近の話題
特殊な疾患;最近の話題—糖尿病性ケトアシドーシス
加藤 哲夫
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.806-807
発行日 1986年5月10日
Published Date 1986/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220347
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糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は,血中にケトン体(KB)が蓄積して起こり,Anion Gap(AG)が増加するMetabolic Acidosisの代表的な例のひとつとして知られる.しかし,DKAをインスリン等で治療し,代謝状態を改善させ,増加したAGが正常化しても,AGが正常のMetabolic Acidosisを呈する症例が見られることがある.この原因については従来,DKAに伴う腎尿細管の酸排泄障害,HCO3-とCl-の細胞内外のdistributionの差などが考えられてきた.しかし,最近,尿中へのKBの喪失がその原因であるとの説が実証されつつある.本稿は,DKAの発生から治療までの経過を概観しながら,正常AGのMetabolic Acidosisが起きるメカニズムを解説する.
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