カラーグラフ リンパ節疾患の臨床病理【新連載】
リンパ節疾患の病理
片山 勲
1
1埼玉医科大学・第1病理
pp.657-660
発行日 1986年4月10日
Published Date 1986/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220316
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リンパ節は生体防御のために重要な役割を果たしている.そこに起こり得る病変は,先天性異常,変性疾患,代謝異常,炎症,腫瘍と多様であるが,実地診療上問題となるのは,ほとんど炎症と腫瘍のいずれかに限られている.そして炎症では,足に釘を刺したために鼠径部のリンパ節が腫れる場合のような局所性リンパ節炎と,伝染性単核細胞症に伴い全身のリンパ節が腫れる場合のような系統的リンパ節炎.腫瘍では,リンパ節そのものの悪性腫瘍である悪性リンパ腫と,他臓器の悪性腫瘍がリンパ行性に転移してくるために起こる転移性リンパ節腫瘍(たとえば胃癌から左静脈角リンパ節へのウイルヒョウ転移)と,合計4種類のリンパ節疾患に分けられる.
すでに気づいたことと思うが,この4種のリンパ節疾患のいずれにおいても共通して存在する大事な徴候はリンパ節腫大であるということである.したがって,リンパ節疾患ではその種類を問わず,原則としてリンパ節腫大が患者の主訴であり,鑑別診断の対象である.
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