シリーズ・癌細胞診・15
リンパ節
社本 幹博
1
,
舟橋 正範
1
Mikihiro SHAMOTO
1
,
Masanori FUNAHASHI
1
1藤田学園保健衛生大学医学部病理学教室
pp.291-294
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912908
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生体の免疫機能遂行に重要な役割を演じているリンパ節では,免疫担当細胞であるリンパ球がつねに産生されているため,種々の発育過程にあるリンパ球系細胞が存在する.また,さまざまな生体反応に応じてリンパ球は容易に芽球化現象などを起こすため,大型化など,その形態像もまちまちとなってくることも多い.したがって,通常われわれが悪盤腫瘍細胞の診断基準としているN/C比の増大,核小体の胆大,クロマチンの増量などといった判定基準は必ずしも当てはまらない.また,通常の細胞診に用いているPapanicolaou(Pap)染色よりは,リンパ球系細胞の鑑別にはMay-Grünwald-Giemsa(M-G-G)染色のほうが優れており,また慣れもあるため,他の領域の細胞診とはいささか異なっている.リンパ節はその性格上,リンパ節固有の悪性腫瘍である悪性リンパ腫,Hodgkin病のみならず,他臓器からの悪性腫瘍の転移,種々の炎症性疾患,全身性疾患の部分症など,多様な病変が現れるため,細胞診断に当たっては,診断者の医学的知識に対する幅の広さが問われると言っても過言ではない.針穿刺吸引法は外科的侵襲を与えることがないため臨床上有用性が高いことはもちろんであるが,生検リンパ節割面の捺印標本も迅速診断においては重要である.
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