今月の主題 リンパ系疾患へのアプローチ
リンパ系の発生と解剖
リンパ節と脾臓の解剖と機能
若月 進
1
,
片山 勲
1
Susumu Wakatsuki
1
,
Isao Katayama
1
1埼玉医科大学・第1病理
pp.1720-1725
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219238
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リンパ節および脾臓の解剖と機能を相関させ,立体的に理解するには,Aschoffの細網内皮系ないしvan Furthの単核食細胞系などの概念を導入し,その枠組の中で捉えてゆくことが最も正統的アプローチであると慣習的に考えられてきた.しかし,近年は免疫学の目ざましい進歩に即応するために,リンパ節と脾臓の形態的しくみ(解剖)は,まさに免疫組織そのものであり,リンパ節と脾臓の機能はともに,免疫機能そのものであるというように,この2臓器を積極的に免疫学に直結させて把握しようとするアプローチが一般化しつつある.
ここ数年来,PAP immunoperoxidase染色法をはじめ,諸種の免疫組織学的技法が開発され,リンパ球サブセットの局在性や,抗原動態の解析にさかんに応用されている.このことは,免疫疾患や,造血器腫瘍の本質的理解をますます深めるとともに,生検材料の病理診断のうえでも大きな貢献をもたらしつつある.
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