今月の主題 アルコール障害
アルコール救急医療
重症アルコール性肝障害
荒井 正夫
1
,
奥野 府夫
2
,
石井 裕正
3
1産業医科大学・中央臨床検査部
2産業医科大学・第1内科
3慶応義塾大学医学部消化器内科
pp.456-458
発行日 1986年3月10日
Published Date 1986/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220268
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近年アルコール消費量の急激な増加に伴い,本邦においても200万人以上のアルコール依存症者がいることが明らかにされてきた.これら依存症者の多くは,いわゆる,アルコール性肝障害を合併していることが多く,これまで本邦では比較的少ないと考えられていたアルコール性肝炎も着実に増加していることが示されている1).多くのアルコール性肝障害は禁酒,安静,食事療法などの対症的な治療により軽快するが,しかし,Phillipsら2)がアルコール依存症者の中に急性肝不全で死亡する場合のあることを報告して以来,重症型のアルコール性肝炎の存在が注目されるようになった.事実,筆者らも長年月の飲酒後に過剰の連続飲酒を契機に肝不全に陥り,死の転帰をとる場合を経験しており,これら自験例をふまえて,今回,重症アルコール性肝障害について概述することとする.
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