アルコールによる臓器障害・5
アルコールと膵臓
石井 裕正
1
,
村岡 松生
1
,
荒井 正夫
1
1慶大内科
pp.668-672
発行日 1974年5月10日
Published Date 1974/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205434
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アルコールの過飲が,胆石症とともに膵炎の2大原因の一つとして重視されていることは周知の事実である.すでに1878年,Friedreich1)はアルコールによって起こってくる膵障害を"drunkard's Pancreas"として注目し,続いてFitz2)(1889年)も急性膵炎の考察においてアルコールと膵炎との関係を確認している.それ以来,アルコールに起因すると考えられる膵炎の頻度はアルコール中毒患者の増加と軌を一にし,また,その臨床経過が胆石症を原因とする膵炎とは異なることも注目され,その発生機序に関しても多くの研究者により次第に明らかにされつつあるが,すでに述べてきた3,4)アルコールと肝臓との関係に比べて,不明な点がまだ多いのが現状である.
本稿では,アルコール性膵炎の発生機序,およびその臨床的事項につき最近の知見をとりいれつつ考察を加える.
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