ベッドサイド 臨床医のための臨床薬理学マニュアル
beta-blocker
越前 宏俊
1
,
石崎 高志
1
,
辻本 豪三
2
1国立病院医療センター
2山梨医科大学
pp.534-539
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219682
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beta-blockerは1970年代における夢の薬物の一つであったといえよう.この薬物は労作性狭心症,高血圧,不整脈(特にsupraventricular),特発性肥大性心筋症,甲状腺機能亢進症,本態性振戦などの治療に効果のあること1,2),また急性心筋梗塞後の死亡率を低下させること3,4)が実証されて来た.最近では,肝硬変患者での食道静脈瘤からの出血の頻度を減少させる可能性があることも示唆されている5).beta-blockerは日常臨床の場できわめて頻繁に用いられており,また現在日本では約15種もの異なったbeta-blockerが市場に出回っておりながら,それぞれどの病態の患者にどのbeta-blockerをいかなる基準に基づいて選択するかは臨床家にとって明らかであるとは言えない.beta-blockerは,これまで本稿で述べられてきた,血中濃度一効果関係が全ての病態に対して明らかな薬物とはいえないが(労作性狭心症および一部の不整脈については血中濃度一効果関係が知られている),現在臨床で類似薬物が最も多種,かつ頻繁に用いられておりながら,どのbeta-blockerをどの病態に,どのような基準に基づいて選択するかは明らかではない.
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