境界領域 転科のタイミング
転移性肺腫瘍
小中 千守
1
,
高橋 秀暢
1
,
加藤 治文
1
1東京医科大学・外科
pp.935-939
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219769
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悪性腫瘍の原発巣を治療中,またはその後に肺転移をみたとき,一般的に外科治療の適応は少ないと考えられている.しかし適応症例を選択すれば,転移性肺腫瘍の手術成績は原発性肺腫瘍の手術成績に劣らない予後を得ることが可能である.近年,強力な化学療法剤の開発と使用方法の改良により,転移性肺腫瘍の手術適応は広がりつつある、これはいままで手術適応の少なかった両側多発性転移巣も,抗癌剤の使用の後にそれに抵抗性を示す腫瘍のみの外科療法の可能性や,手術療法により大きな転移巣を除去し,抗癌剤により微小な転移巣を治療するという考えからである.またCTなどの診断面の進歩により,肺転移巣の正確な診断や,その限局性も比較的正確に把握でき,手術適応が決定しやすくなった.このように転移性肺腫瘍の治療は,内科,外科の協力のもと集学的に行わねばならない癌治療の最前線である.
ここでは,いまだ内科的治療が主体となると考えられている転移性肺腫瘍の外科療法の可能性と,この外科療法を行う場合の重要なポイントとなる手術適応の決め方について筆者らの症例を中心に検討してみる.
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