今月の主題 肺癌—その理解と対処のために
転移
転移性肺腫瘍
曽根 脩輔
1
,
東原 悳郎
1
,
森本 静夫
1
1阪大放射線科
pp.1817-1821
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206300
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
転移性肺腫瘍では,リンパ管症型のものを除けば,その早期には自覚症状を欠くし,喀痰細胞診による陽性率も低いので,その診断は主として胸部X線検査によることになる.そして,われわれが日常臨床的に転移性肺腫瘍の問題に遭遇するのは,普通はどこかに確認された原発巣があり,その治療途上またはfollow-up中なので,胸部X線診断で重要なのは肺転移の有無の判定ともいえる.この意味では肺転移性腫瘍の示す種々のX線変化が明らかにされていなければならない.これは肺転移の早期発見に役立つし,誤診を少なくすることにも通じる.しかし,時には肺の転移巣の発見から原発巣の検索が始まることもある.この際には,当然悪性腫瘍の発生頻度やその肺転移率の高い原発臓器を中心にして,原発巣不明の転移癌の原因になりやすい臓器を含あて検査をすすめなければならないが,肺転移巣のX線所見になにか臓器特異性が認められるなら診断の方向づけが一層容易になろう.
このような観点から,本文では転移性肺腫瘍のX線像の種々相を述べ,同時にこれらと原発臓器の関連性を示すことにしたい.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.