今月の主題 胆道疾患診療のトピックス
胆石治療の最近の進歩
肝内胆石の病理と治療
山本 賢輔
1
1長崎大学医学部・第2外科
pp.650-651
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219707
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肝内胆石すなわち肝内胆管内に胆石を有する疾患は,本邦では肝内結石症(以下,本症と記す)の名が一般的となりつつある,わが国における発生頻度は,現在全胆石症の5%以下と思われる.一般的に,①都市部に少なく農漁村地域に多い,②右よりも左肝内胆管系に好発する,③高率に胆道感染を伴いビリルビン石灰石が多い,④胆嚢結石や総胆管結石症に比して発症年齢が若い傾向がある,などの特徴がある.
本症は原発性と続発性の2群に分けられる.前者では胆石のすべてまたは大部分が肝内胆管内に存在し,狭窄や限局性拡張性病変,さらには分岐走行異常などの複雑な変化を肝内胆管に認めることが多い.後者は肝内胆管に特異的な形態異常がなく,胆石は肝外胆道系に偏在し,肝外で形成された胆石が積み上げや移入などによって2次的に肝内胆管にまで移動波及したものである.非常に進行した症例では両者すなわち原発性か続発性かの判別は困難な場合もある.
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