今月の主題 内分泌疾患の新たな展開
早期診断へのヒントと診断の進め方
内分泌疾患を示唆する理学所見
山本 通子
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.384-386
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219645
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内分泌疾患の確定診断には各疾患に対応したホルモンの測定が必須である.また詳しい病型分類や病態把握,非定型例や軽症例の診断のためには種々の負荷試験が欠かせない.しかし内分泌疾患を診断する第一歩は多くの場合理学的所見から特定の内分泌疾患を疑うことに始まる.その後に続くホルモンの測定や負荷試験は,理学的所見を手がかりに疑われた内分泌疾患の診断を確認する目的で,あるいははっきりと否定する目的で,行われるのが通例である.このように内分泌疾患の診断には,検査法が進歩した現在においても,理学的所見が重要な位置を占める.
理学的所見は,問診を交えて視診・触診・打聴診によって得られるが,内分泌疾患を示唆する理学所見の大半は視診により得られることが他領域の疾患と比べて特徴的な点である.この後の稿で述べられている甲状腺機能亢進症,甲状腺機能低下症,クッシング症候群,末端肥大症などの典型例はいずれも,患者を一目見ただけで診断可能な代表的内分泌疾患である.これらの疾患における理学所見は,疾患名とただちに結びつく特異性の高いものがある一方,内分泌以外の領域の疾患も含めて多数の疾患を鑑別しなければならない非特異的所見もある.以下の稿では所見の特異性を考慮しながら,各項目毎に示唆される内分泌疾患について述べる.
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