今月の主題 内分泌疾患の新たな展開
臨床内分泌学の進歩
小出 義信
1
1筑波大学臨床医学系・内科
pp.382-383
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219644
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生命科学の進歩
最近の生命科学の進歩は,目覚ましいの一語に尽きるが,内分泌学はその最先端を占める分野の一つと言えよう.ラジオイムノアッセイ法とペプチド合成技術の開発を端緒とする内分泌学の発展は,分子生物学や免疫学を主とする関連分野の進歩と呼応して,いまや爆発的な情況にある.新しいホルモンあるいは生理活性物質が発見されれば,瞬時とも言える短期間に,構造決定,合成,測定法の確立へと進み,さらには受容体や作用機序の解析,既知の調節系との関連,あるいは疾患における意義の探求,診断,治療への応用へと,限りない展開が生ずる.そしてこれらの新しい知識の集積は,ひいては未知の生理活性物質の発見への糸口を与えることとなる.その典型が,本特集で取りあげたGRF,CRFを含む神経内分泌学の領域であろう.近年のこの領域の進歩は特に著しく,次々と新しい生理活性物質が発見されており,その研究領域も,食欲,消化吸収,循環といった本能的機能から,精神活動を含めた高次脳機能にまで拡がろうとしている、このような情況にあっては,私達臨床医ももはや従来の古典的内分泌の概念のうちにとどまることは許されず,これらの研究成果の発展に取り残されないための不断の努力が必要となるのは言うまでもない.
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