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1997年より,国立感染症研究所感染症情報センターからWHO(世界保健機関)の感染症流行および汎流行に対する警戒および対応部(EPR1): Epidemic and Pandemic Alert and Response注))への職員派遣が継続されている.4人目の派遣者として,また初の国立感染症研究所FETP(感染症実地疫学専門家養成プログラム:Field Epidemiology Training Program)修了者として,2005年6月に筆者はWHO本部に赴いた.EPR部門においては,ヨーロッパ全体の実地疫学専門家養成プログラムであるEPIET(European Programme for Intervention Epidemiology Training)を中心として,多くの実地疫学専門家育成プログラム出身者が活動しており(私信では2006年4月現在でEPR部内のEPIET出身者は10名前後),世界の感染症対策の中軸を担っている.またWHO本部のみならず,フィリピンのマニラにあるWHO西太平洋地域事務所(WPRO: Western Pacific Ocean Region Office)CSR部門に対しては,2003年より2006年3月末まで,現役の国立感染症研究所FETP研修員が約2か月単位の交代制で派遣され,同地域におけるSARS(重症呼吸器感染症症候群)や鳥インフルエンザを始めとする新興・再興感染症発生のモニタリングに当たってきた.
どのような活動が行われているのか,活動における実地疫学の役割とは何か,そして,そこから国内の感染症対策について示唆される点は何か.本稿においては,WHO本部におけるEPR部門を中心として,FETP修了者として見た場合のWHOにおける活動について述べてみたい.
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