今月の主題 筋疾患とその周辺
筋疾患の成因と治療
筋疾患の成因と治療—進行性筋ジストロフィーを中心に
杉田 秀夫
1
1国立武蔵療養所神経センター・疾病研究第一部
pp.282-284
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219626
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
筋疾患とは神経・筋接合部より末梢部の障害に起因する筋力低下,筋萎縮を指し,原因的には遺伝性,非遺伝性に分類される.前者の代表は進行性筋ジストロフィーであり,後者の代表は筋炎であろう.筋肉が萎縮する場合,病態生理学的には筋肉の崩壊と再生,すなわち分解と合成の両面を考慮する必要がある.筋炎のように一度低下した筋力および筋萎縮が再び回復することは,筋肉の再生が崩壊を十分補っているためであると理解できる.筋疾患はその数も多く,またその成因も多種多様であり,単一酵素欠損などのように原因の明らかな疾患もあるが,多くは原因不明である.
本項では誌面の都合もあり遺伝性筋萎縮症の代表である進行性筋ジストロフィー,とくにデュシャンヌ(Duchenne)型を中心に筋肉の崩壊,再生および現在考慮されているプロテアーゼ阻害剤による治療法について概説してみたいと思う.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.