今月の主題 筋疾患とその周辺
検査法
筋生検—光顕レベルでわかること
山村 善教
1
1宮崎医科大学・第3内科
pp.220-226
発行日 1985年2月10日
Published Date 1985/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219610
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筋生検の適応と時期ならびに留意点
筋生検は筋力低下や筋萎縮の明らかな各種神経筋疾患のみならず,McArdle病とはじめとする代謝性疾患や,筋症状を欠くLafora病や,血管炎を合併していると考えられる膠原病においても有力な情報をもたらしうるので,これらの疾患を疑った際には適応があるといえる1).ただし,遺伝歴や臨床症状などから確診できるような進行性筋ジストロフィー症(progressive muscular dystro-phy,以下PMD)や,臨床症状や筋電図所見などで確診できる脊髄性進行性筋萎縮症や筋萎縮性側索硬化症などにおいては,筋生検は研究的色彩が濃くなる.
筋生検の時期についてとくに問題となるのは低カリウム血性ミオパチーや周期性四肢麻痺などの可逆性疾患であり,なるべく極期に筋力低下の高度な筋肉を採取すると所見が得られやすい.また,多発性筋炎ではヘマトキシリン・エオジン染色(HE染色)のみでも診断が可能なことが多く,疑いをもったらステロイドホルモンなどを投与する前になるべく早急に筋生検を行うとよい.
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