今月の主題 細胞膜
カラーグラフ
細胞膜の構造—光顕から電顕へ
高田 邦昭
1
,
伊藤 正高
2
,
川上 速人
1
,
西山 文朗
1
,
平野 寛
1
1杏林大学医学部解剖学教室
2杏林大学医学部第三内科学教室
pp.622-624
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912211
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細胞膜は細胞の外表面を覆う生体膜の一種である.厚さは約7〜9nmで,光学顕微鏡の分解能を超えているため,その構造の解明には電子顕微鏡による観察を待たねばならなかった.現在細胞膜における種々の現象をもっとも良く説明できるものとして,1972年S.J.SingerとG.L.Nicolsonにより提唱された細胞膜の「流動モザイクモデル」が一般に受け入れられている1).細胞膜外表面には細胞膜を構成する糖蛋白質や糖脂質の糖鎖が露出していて糖衣(glycocalyx)を形成している.小腸の吸収上皮の刷子縁がPAS染色やコロイド鉄染色で陽性に染まるのはこの糖衣の存在に由来している2).最近は特定の糖構造と特異的に結合するレクチンを用いて,細胞膜の糖鎖の検索が光顕ならびに電顕レベルで進められている3,4).
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