検査法
骨・軟骨の病理組織学的観察法(I)—光顕レベルの一般的方法
三友 善夫
1
Yoshio MITOMO
1
1東京医科歯科大学病理学教室
pp.215-227
発行日 1970年3月25日
Published Date 1970/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408904378
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はじめに
整形外科領域に見られる疾患の形態学的検索は他の組織や臓器に比較して困難な場合が少なくない.この検索法として細胞診,針生検,一般的生検(試切),手術的摘出材料や解剖材料の検査が上げられる.いずれの検査材料も石灰沈着や器質化した膠原線維などの硬組織が対象であるために,材料の採取,固定,脱灰,包埋,薄切,染色などの標本作製過程にArtefactを生ずる機会が多く,病変の理解に誤りや不足を伴いがちである.これらの病変の適確な処理にとつて,十分な臨床的観察が重要で症例の多角的な検討によつてはじめて病理形態学的意義が生まれてくる.多くの疾患の診断に病理組織学的検索は不可欠であるが,その疾患を構成する病変が器質的な変化を示す場合にのみ限られている.組織や細胞の構造に萎縮,壊死,変性などの退行性変化,循環障害,炎症,腫瘍,肥大過形成の特徴的な病変が推定される時に有効である.そのために①患者の既往歴,症状,レ線所見,臨床検査の成績,年齢,発生部位からあらかじめその疾患を推準し,鑑別を要する類似疾患の形態学的特徴をも表現できる標本作製法を選択すること,②その標本に表現された病変を標本作製上生じた人工的産物Artefactから区別することの2点が問題となる.
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