臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅸ.膵外分泌機能検査
142.膵刺激試験
野田 愛司
1
,
菊地 三郎
2
Aiji Noda
1
,
Saburo Kikuchi
2
1名古屋大学医学部・第2内科
2名城病院
pp.2440-2441
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219463
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現在,膵刺激試験として独立した検査法はない.おそらく我国において,ワゴスチグミン(プロスチグミン)試験が,一時期に慢性膵炎の診断法として重視された名ごりであろうと思われる.今日では,膵刺激試験と呼ぶ代りに次項(p. 2442)のパンクレオザイミン・セクレチン試験(P-S試験),あるいは試験食投与によるLundh test(試験)が一般的である.前者は外因性(静注)に消化管ホルモン(Gutホルモン)を投与して膵を刺激する方法であり,後者は内因性,すなわち蛋白,脂肪および含水炭素から成る試験食を十二指腸に注入して,生理的に生体内に存在する消化管ホルモンを血中へ放出させ膵を刺激する方法である.これらの方法は膵外分泌機能検査法であるのに対し,ブドウ糖経口投与による糖負荷試験,アルギニン静注による負荷試験,あるいはトルブタマイド負荷試験などは膵内分泌機能検査法である.後者については別項で述べられるので省略する.
膵外分泌機能は表1に示したごとく,膵本来の分泌機能と膵の異物排泄機能とに二大別できる1).表中の諸因子を,①消化管ホルモンの外因性または内因性の刺激により検索すること,②十二指腸に挿入したチューブにより,膵液(実際は広義の十二指腸液)を採取すると同時に,ホルモン刺激前後に採血して,膵液と血液でこれらの因子の変動を検索することからなる.
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