増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
膵外分泌機能検査
146.膵刺激試験
石森 章
1
,
川村 武
1
1東北大学医学部付属病院・中央検査部,臨床検査診断学
pp.1984-1985
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222835
- 有料閲覧
- 文献概要
膵に何らかの刺激を与えることにより膵機能や障害の程度を評価する方法を膵刺激試験とすると,内分泌機能や外分泌機能など膵がもっている諸機能にそった種々の試験法が考えられるが,ここでは外分泌機能検査(表1)に限って述べる.ワゴスチグミン試験は主に慢性膵炎の診断に用いられたが,膵に特異的ではなくモルフィン,セクレチン,パンクレオザイミンなども同様の効果を示すことから,パンクレオザイミンーセクレチン試験(P-S試験)と一緒に膵酵素誘発刺激試験として行われることが多い.エーテル反射試験,塩酸反射試験,試験食試験なども刺激法が粘膜面を介し生理的であるなど良い点もあるが,採取液へ試験液が混入し判定上若干問題があり既に古典的方法となった.現在のところ,日本膵臓病研究会試案によるP-S試験が標準法として広く実施されている1).さらに最近では,膵液測定検討小委員会からセクレチン静注法の報告もされた2)(表2).しかしこれらの方法においても厳密には膵液だけではなく,いわゆる十二指腸液が採液されるわけであり,胆汁や胃液などの混入も考慮する必要があることから,経内視鏡的に膵管から直接採取する純粋膵液採取法なども試みられている3).その他間接的膵外分泌機能検査としては,BT-PABA試験(別項目参照)や,刺激試験ではないが血中膵酵素測定,さらに最近では糞便中キモトリプシン測定なども膵外分泌機能を知る指標として用いられている.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.