臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
IX.膵外分泌機能検査
124.膵刺激試験
菊地 三郎
1
1名城病院
pp.1922-1923
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216228
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はじめに
空腹時の膵液(臨床的にはゾンデで採取した十二指腸液をあてる)中の膵酵素量を測定して膵外分泌機能の程度を判定しようとする試みはかなり以前からなされていた.しかし,膵酵素量の変動幅が大きすぎて臨床応用には難があり,一般化しなかった,膵外分泌刺激剤による一種の負荷試験も試みられ,エーテル,オリーブ油,塩酸などが用いられた時代もあった.しかし,薬剤を消化管に直接注入する方法は膵液検査には必ずしも適当ではないし,膵液の採取そのものも決して簡単ではない.膵刺激剤を注射し,血中膵酵素の変動をみて判定するprostigmin testが考案されたのも上述の理由からである.日本ではワゴスチグミン試験として,一時期には慢性膵炎の唯一の診断法として重視されたものである.しかし,ワゴスチグミンの膵刺激作用は個人差が大きく,種々の副作用も頻発し,さらに膵の組織変化とはかなりの解離がみられることなどが知られるようになり,その後は後述のパンクレオザイミン・セクレチン試験にとって代わられるに至った.この方法は刺激剤こそ静注法であるが,膵液採取という手段に頼らねばならないので,まだまだ手数のかかる診断法である.パンクレオザイミンやセクレチンのような生理的に生体に存在する消化管ホルモンを膵刺激剤として用いる方法は薬剤の市販とともに急速に普及し,セクレチン試験あるいはパンクレオザイミン・セクレチン試験(P-Sテスト)として繁用されるようになった.
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