増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
100.遊離脂肪酸
宇治 義則
1
,
岡部 紘明
1
1熊本大学医学部・臨床検査医学
pp.1868-1869
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222789
- 有料閲覧
- 文献概要
●異常値を示す疾患(表1,2)
遊離脂肪酸(free fatty acid;FFA,またはnon-estrified fatty acid;NEFA)の血中での半減期(turnover)は1〜2分といわれており,他の脂質成分に比べて血中での含有量は微量ではあるが,その代謝活性はきわめて高く,脂質代謝のみならず糖代謝,内分泌性の影響を敏感に受け,生理的条件の変化によっても大きく変動するので,その臨床的意義の解釈には注意が必要である.
血中FFAは脂肪の水解より生成され,脂肪組織のトリアシルグリセロールの水解もしくは筋,肝組織などへの血中トリアシルグリセロールの吸収の際にリポプロテインリパーゼ(LPL)の作用により血中に存在する.この脂肪の移送時には,種々のホルモンが関与することが知られている.水解促進効果のあるホルモンとしてはACTH,MSH,GH,TSH,グルカゴン,エピネフリン,ノルエピネフリン,抑制効果のあるものとしては糖,インスリン,プロスタグランジンなどがある.FFAの代謝動態を図に示す.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.