臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第2集
VIII.血液化学検査
85.遊離脂肪酸(FFA)
福井 巌
1
1京府医大臨床検査部
pp.1830-1832
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216189
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異常値を示す疾患
血漿中のFFAの濃度は非常に不安定なもので,わずかの刺激に対して敏感に変化する.とくに,栄養および神経内分泌性の影響を敏感にうける.血漿中の量はほかの脂質に比べて非常に少ないが,turn overが非常に早く,エネルギー源として重要な役割を果たしている.
ほかの脂質と異なり,ただ1回の測定のみで疾患の診断的意義を有する場合が少ない.むしろある刺激を加えてFFAの変化をみて,それらの刺激の生体内代謝におよぼす影響をみる場合が多い.生体がエネルギーを必要とするとき,図にみられるように,ホルモン感受性リパーゼが働き,脂肪組織のTGはFFAとグリセロールに分解され,血中に放出される.血中に放出されたFFAは心筋,骨格筋,腎臓などの主要臓器のエネルギー源となる.あまったものは肝に行ってTGとなり,ふたたび血中に放出され脂肪組織に摂取され,たくわえられる.ホルモン感受性リパーゼはいろいろのホルモンや神経系の影響をうけることが大きく,cyclic 3',5'-AMPを介して調節されている.cyclic 3',5'-AMPはATPからadenyl cyclaseによってつくられる.
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