増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
遊離脂肪酸
澤田 正二郎
1
,
石川 俊次
1
1防衛医科大学校第1内科
pp.390
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906392
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血中脂肪酸の大部分は各種脂質とエステルを構成し,約5%程度が主にアルブミンと結合した遊離脂肪酸(非エステル型脂肪酸:FFA)として存在する.FFAはturn over(代謝回転)が速く,脂肪酸転送能が高く,末梢組織のエネルギー源として重要である.FFAは主に2つの経路で生成される.第1の経路としては,食事から吸収された中性脂肪はカイロマイクロンを形成し,末梢組織のリポ蛋白リパーゼが作用しFFAが血中へ遊離される.第2は,脂肪組織に貯蔵された中性脂肪が,ホルモン感受性リパーゼによって水解されFFAが動員される.多くのホルモン(カテコラミン,ステロイドホルモン,甲状腺ホルモン,成長ホルモンなど)はこのリパーゼを活性化することにより中性脂肪の分解を促進する.一方,インスリンは分解を抑制する.よって,これらの代謝に異常をきたしたときにFFAは異常値を呈する.
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