臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅵ.血液検査
55.FDP(フィブリン/フィブリノゲン分解産物)
松田 保
1
Tamotsu Matsuda
1
1金沢大学医学部・第3内科
pp.2220-2221
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219376
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FDP(fibrin/fibrinogen degradation products)は,プラスミンによって生じたフィブリノゲン,またはフィブリンの分解産物を指している.フィブリノゲンはプラスミンの作用により,順次分解して4種のFDP(fragmentsX,Y,D,E)を生ずる.フィブリンの分解によりFDPを生ずる場合には,2分子のD分画が交叉結合してD-dimerの形をとるため,フィブリノゲンの分解とは多少異なった過程をたどって分解が進行する.これらのFDPはフィブリノゲンとは異なり,トロンビンによる凝固性がきわめて悪いか,またはまったく凝固しないが,免疫学的にはフィブリノゲンと同様の抗原性を有するので,血清またはフィブリノゲン除去血漿を用いて免疫学的な測定が行われている.
なお,in vitroの実験からは,血中抗プラスミンの著しい低下がないかぎり,フィブリノゲンの分解はフィブリンの分解に比べきわめて困難であり1),流血中に証明されるFDPのほとんどはフィブリンがプラスミンにより分解されて生じたものと考えられる.
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