増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
1.血液検査
6 フィブリン/フィブリノゲン分解産物(FDP)
和田 英夫
1
,
別所 由梨
2
1三重大学医学部臨床検査医学
2三重大学医学部附属病院中央検査部
pp.1101-1103
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101060
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はじめに
血栓形成後に,血栓を除去するため線維素溶解(線溶)現象は起こる.線溶現象は,プラスミノゲンアクチベータ(plasminogen activator,PA)がプラスミノゲンを活性化し,プラスミンを生成させることで開始される.プラスミンはフィブリンだけでなくフィブリノゲンにも作用し,フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation product,FDP)を形成する.フィブリン/フィブリノゲンの分解過程において各種の分解産物(亜分画)が共存する.プラスミンによりフィブリノゲンのAα鎖およびBβ鎖の一部が切断されX分画となり,さらにY分画とD分画に切断され,最終的にE分画とD分画となるのが,一次線溶で産生されるFDP(fibrinogen degradation product,FgDP)である.一方,二次線溶で産生されるFDPは,血栓形成による安定化フィブリンがプラスミンにより分解を受け,互いに異なる分子に由来するD分画2分子の結合体とE分画1分子を最小単位とするさまざまな分子のXDP(Dダイマー)である(図).
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