増刊号 尿検査法
II.各論
3.尿蛋白
(7)フィブリン分解産物(FDP)
髙宮 脩
1
1信州大学医療技術短期大学部
pp.88-89
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901077
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はじめに
FDP(fibrinogen/fibrin degradation product)は,フィブリノゲンまたは血液凝固によって生じたフィブリンが線維素溶解酵素-プラスミンによって溶解されて生じた分解産物の総称である.尿中へは腎局所の凝固・線溶亢進のみならず,さまざまな病態で出現する.
尿中へのFDPの出現機序は,①DIC(disseminated intravascular coagulation;播種性血管内凝固)によって血中で異常に増加したFDPの尿中への排泄,②糸球体基底膜の蛋白質透過性亢進による血中へのフィブリノゲンおよびFDPの排泄,③糸球体局所で凝固によって生成されたフィブリンが溶解して生じたFDPの排泄,④尿路系の炎症や腫瘍により生じたフィブリンの溶解により生じたFDPの排泄などが考えられている1〜2).
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