臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅰ.尿検査
3.尿色
林 康之
1
Yasuyuki Hayashi
1
1順天堂大学医学部・臨床病理学
pp.2086-2087
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219324
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異常を示す原因物質と疾患
尿色調異常を主訴として外来を訪れる患者の数はかなり多い.健康人尿色調は淡黄色むぎわら色と表現され,水利尿,濃縮などによって水様透明〜黄褐色までの変化を示すが,それほど激しいものではない.そして,尿色の異常を訴えた場合,ほとんどが淡黄色を基調とする色彩の変化を示すもので強調された変化に限るようである.
表に尿色調の変化をきたす原因物質と対応する病名をあげた.変色は尿中物質の変化をきわめて端的に証明するものであり,診断の重要な情報源となり得る."Keine Diagnose ohne Harnuntersuchung"といわれてきたそのまた第一歩が尿色の観察であり,決して省略できない診断作法のひとつといえよう.尿色の観察は同時に透明か混濁尿かの診断もつき,ひと目でスクリーニングの網を絞ることができる.たとえば最も頻度の高いのは赤色尿であり,当然血尿,血色素尿,薬尿,ポルフィリン尿の順に考えられる疾患をあげ,鑑別を進めることになる.したがって,尿路系の疾患,出血性素因,アレルギー疾患,服用薬剤,食用色素などを鑑別の対象にあげ,最後に稀な疾患であるが,ポルフィリン尿症,血色素尿症などを考えるのが一般的であろう.もちろん,臨床症状がポルフィリン尿症,発作性寒冷(または夜間)血色素尿症を疑うほど明瞭な場合,この順序は無視されてよい.
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