検査じょうほう室 血液:自動血球分析装置のフラッグ処理で困ったこと
血清鉄が正常なのに[Iron Deficiency?]
横尾 ハル江
1
1埼玉社会保険病院検査部血液
pp.757-759
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543100092
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
近年,自動血球計数装置は,血球計数だけではなく白血球5分類も同時測定できる装置が主流となっています.当検査室も2000年3月よりXE-2100とSP-100とを接続したXE-AlphaNを使用しています.XE-2100では血球計数には主に直流電流を用いて細胞の大きさを捉えるDC検出方式が,白血球5分類には高周波電流を用いて細胞内部の情報を主に捉えるRF検出方式とDC検出方式との両方を使用したRF/DC検出方式と半導体レーザーを使用したフローサイトメトリーとの二法が用いられています.半導体レーザーは一つの細胞から得られる前方散乱光,側方散乱光,側方蛍光の三つの信号を解析して細胞を弁別します.前方散乱光からは細胞の大きさの情報を,側方散乱光からは細胞の内部情報(核の形,顆粒の有無など)を引き出し,側方蛍光からは主に核酸量(DNA,RNA)の情報を得ています.赤芽球の検出,網赤血球,血小板測定の一部にも半導体レーザーを使用したフローサイトメトリーが用いられています.HGB測定にはSLS-Hb法が使用されています1,2).
XE-2100でのPOSITIVE検体にはデータになんらかの異常が認められ39種類のIPメッセージ(インタープリティブメッセージ)のどれかが出力されます.これがフラッグのことです.[Iron Deficiency?]はMCHC,MCV,RDW-CVより判定します.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.