今月の主題 膠原病—最新の知識
理解のための基礎知識
免疫担当細胞
奥村 康
1
Ko Okumura
1
1順天堂大学医学部・免疫学研究室
pp.1536-1537
発行日 1984年9月10日
Published Date 1984/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219200
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生体の免疫応答は大別して,ツベルクリン反応のような遅延型免疫反応に代表されているB細胞や免疫グロブリンが関与せず,T細胞やマクロファージを主体としたいわゆる細胞性免疫とよばれる反応と,抗原に対する免疫グロブリン産生といったB細胞系を主体とした液性免疫とよばれる反応系が知られている.しかし,それ以外にT細胞でもB細胞でもない細胞群(nonT,nonBまたはnull cell)が関与した特異性の定かではない反応系も明らかにされつつある.また周知のごとく免疫応答に関与する細胞群はその表面マーカーの相違から,T細胞,B細胞,null細胞,単球またはマクロファージと大別されるのみならず,これら細胞群をさらに細かく分類することが可能となり,たとえば,T細胞といってもいまでは何種類にも分別分離することが可能になってきた.
B細胞が抗体産生細胞の前駆細胞であるということは,鳥類のBリンパ球の分化に不可欠な臓器であるファブリキュウス嚢を生下時に摘出すると鳥が無ガンマグロブリン血症になる事実から以前よりよく知られていた.またB細胞の分化と成熟後のB細胞による抗体産生は,T細胞の働きと全く独立して考えられていたのであるが,マウスの新生児期に胸腺を摘出すると動物が成熟後T細胞の機能欠損がおきるのみならず,ある種の抗原たとえば半赤血球,等に対するB細胞による抗体産生が著しく低下するという事実が見出された.
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