今月の主題 糖尿病診療の実際
境界領域
患者教育チームの編成
阿部 祐五
1
Yugo Abe
1
1太田西ノ内病院・内科
pp.1044-1045
発行日 1984年6月10日
Published Date 1984/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219085
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糖尿病治療における患者教育は,明確な目的と具体的な指導内容をもった教育計画を組織して,患者と家族に受け入れ易い糖尿病知識の理解と動機づけを目標としたチームアプローチが中心となる.すなわちチームアプローチによって環境と生活背景の異なる個々の患者の患者自身の現状を容認する行動の変容があって,はじめて所期の目的が達成できる.そのため,より効果的な教育計画の立案は,共通の目的をもった各分野の専門家の参加と積極的な支持によって可能となり,患者の現状の病態に対応して「何が必要か」「何を行うべきか」などの的確な洞察力と論理的帰納性をもった教育指導が可能なチーム編成(make up ateam)が必須の条件となる.
一方,現行のわが国の医療制度下における患者教育チームの人材需要の予測と目標は,各施設,機関の管理者の医道理念と患者教育に対する価値観によって方向づけられている.従来,教育現場のチームメンバーの選考と養成については,専門家でない職制上の院内責任者によって決定されているのが実情であり,医師やチームリーダーの要望に応えた教育チームの編成には困難な問題が多い.しかしたとえ教育チームが不満足であってもチームメンバーの再教育,再訓練を繰返し行い,教育システム,教育計画の評価,再評価が重要である.
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